100G Over DCI(トランスポンダ搭載イーサネットスイッチ Cassini)
はじめに
今回ご紹介するのは、通称「Cassini」というトランスポンダを搭載したEdgecore社のイーサネットスイッチです。Facebook主導のTIP(Telecom Infra Project)で光伝送のオープン化が推進されており、TIPで発表された製品の一つがEdgecoreが製造するCassini(AS7716-24SC)です。データセンターで使用されるホワイトボックススイッチと、トランスポンダを融合した製品で主にデーターセンターインターコネクト(DCI)での使用を想定しています。外観
200GbEコヒーレント伝送に対応したライン側がモジュールタイプで合計8スロット(左右にそれぞれ4スロット)と、クライアント側にはQSFP28ポートを16ポート搭載しています。ライン側スロット用のモジュールとして、ACOモジュールとDCOモジュールが用意されており、本体は変更せず、モジュール選択により、ACO/DCOを選択できるようになっています。また、ホワイトボックススイッチと同様にNetwork OS(NOS)も用途に応じて選択可能です。商用NOSとしてIP Infusion社のOcNOS、またOSSとしてGoldStoneがあります。また、TIPのOOPT(Open Optical & Packet Transport)ワーキンググループでは、トランスポンダのハードとソフトを分離し、トランスポンダの制御をベンダ非依存で行うためのAPIとして、TAI(Transponder Abstraction Interface)を定義しています。 TAIを定義することで、ホワイトボックススイッチでNetwork OSを提供しているベンダがOS開発しやすい環境が整っています。Cassiniでは、ライン側モジュールに挿入するCFP2-ACO、CFP2-DCOは、マルチベンダ対応しております。
内部構造
データーセンター向けイーサネットスイッチで使用されるASICである、ブロードコム社のTomahawk+を搭載しています。Tomahawk+は、3.2Tbpsの帯域幅があり、16ポートがQSFP28ポート、残り半分の16ポートがライン側に割り当てられている非常にシンプルな構造です。各ライン側モジュールには、上図のとおり100Gポートが2ポート割り当てられており、NetworkOS(IPInfusion OcNOS)からは、通常のスイッチインターフェースとして見えます。ライン側の2ポートにそれぞれ独立したVLANをアサインしたり、2ポートをLACPでLAG構成を組んだり、もしくはBGPを動かしたりなど、従来型のL2/L3スイッチとしてオペレーションすることが可能です。運用管理についても、CLI、Netconf、SNMPなど従来型のスイッチと同様の管理手法です。
また、スイッチのCLIからL1関連(光送信パワー、デジタル変調方式、送信周波数など)の設定やモニタリング、また回線テスト(PRBS)も可能であり、ネットワークエンジニアに馴染み深いCLIを使用し、L1~L3まで統合管理できるのもメリットです。
ユースケース
Tomahawk+を搭載しているので、データーセンター向けの機能をサポートしています。ということで、今回はEVPN-VXLANを使用した構成例を考えてみました!各DC拠点に配置されているゲートウェイルーター間を接続するネットワークを考えます。
- Cassiniのクライアント側インターフェース(ce1/1、ce2/1)でルーターをL2/VLANで収容
- CFP2-ACOにマッピングされているアップリンクインターフェース(ce17~ce20)にUnderlay(eBGP)を設定
- CassiniのloopbackアドレスをVTEPとして設定し、Overlay(EVPN)を設定する
- ルーター間のBGPでは、BFDを使用し、伝送区間の障害を高速検知する
オープン・スタンダードであるBGPのみを利用して、UnderlayとOverlayのコントロールプレーン(EVPN)を構成することが出来るので、非常にシンプルかつオープンですね。また、EVPNを使用することでループフリーなネットワークを構成できます。従来であれば、スイッチ(L2 Fabric)+WDMで構成していたところを1台のCassiniに集約することにより、統合管理やTCO削減が見込めます。
以上が100G Over DCI編でした。OcNOSでEVPNを近々サポートする予定なので、次回は実機で動かした内容をブログに書きたいと思います。今後もホワイトボックススイッチに関するお役立ち情報をブログで適宜公開していきます。製品にご興味ある方は、是非お気軽に下記サイトからお問合せ下さい。
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